進撃のボクヲタ

30代会社員のボクシング観戦記&その他の雑記

肌寒い両国が揺れた一撃。佐竹政一の最高KO

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今日、10月4日はあの日。
佐竹政一vsリチャード・レイナの日。

 

16年前、2003年10月4日の両国国技館。

 

 

トリプル世界タイトルマッチの前座で行われたSライト級10回戦だったが、生観戦したこの日の思い出を振り返ると、最も鮮烈に記憶に残る試合だ。

 

一番会場が沸いたのもこの試合。


もし相撲の時みたいに、この日の両国国技館に座席分の座布団があったら、このKOの直後は座布団が舞って大変なことになったに違いない。

 

佐竹はこの日の勝利を評価され年間表彰でもKO賞を獲っていけど、KO賞で良かったんだろうか。

 

あれから16年経った今、2003年の年間最高試合とMVPは誰かと聞かれると思い出すのに時間がいるが、この試合は記憶から離れない。

 

INDEX ・トリプル世界戦のアンダー
・言語化不可能のKO劇
・パッキャオの活躍でアジアが注目
・世界挑戦の連続失敗中、光った勝利
・ドラマ「GOOD LUCK!」の年

 

トリプル世界戦のアンダー

明石のマタドール。佐竹政一。

 

関西の小さなジムから現れた将来期待の中量級ボクサーだった。

 

東洋王座を獲ってからは大嶋宏成、リック吉村、坂本博之の国内ビックネームを次々と撃破。時には対戦相手の替え玉という世にも奇妙な珍事件に巻き込まれたりしながらも
、順調に連勝を重ねていた。ルックスも良くスター性抜群の中量級ボクサーへの期待感は試合の度に大きくなっていった。

 

そろそろ世界に挑戦したい。


しかしスーパーライト級は完全に海外が主戦場の階級。この階級での日本人ボクサーの世界挑戦は並大抵の事ではなく、佐竹は待たされる日が続いていた時だった。

この日はトリプルメインで3大世界戦。

 

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・西岡利晃VSウィラポン(第3戦)

・本田秀伸VSアレクサンドル・ムニョス

・戸高秀樹VSレオ・ガメス(第2戦)

 

このアンダーカードとして組まれた佐竹のチューンナップ試合。

相手のリチャード・レイナはこの日まで無敗で、更に全KOに近い戦績だったと思う。

 

ここで更に存在をアピールできる勝ち方をして欲しい。何としても世界挑戦を実現させたい。そう願いながらの試合だった。

言語化不可能のKO劇

2ラウンドKOで終わった試合だが、
初回は佐竹が押されていた。

 

レイナの空振りパンチの凄まじい風圧に、国技館がどよめいた瞬間を覚えている。
彼が実力者である事は疑い様がなかった。

 

友人は初回で一気にテンションが下がっていた。「ちょ…これ、ヤベー相手呼んじゃったんじゃないの」

確かにそうかもしれない。

 

この相手をどう攻略していけるのか…

 

そして2ラウンド、
フィニッシュは突然やってきた。

 

もうね、本当に忘れられない。

 

カウンター気味に決めたこの…

この右フック!!!!!!!!!

 

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あ、もう立てないわ。
それが分かる倒れ方。

 

突如訪れた鮮烈なフィニッシュに場内総立ち。
怒号の様な大歓声が佐竹コールへ変わる。


さったっけ!さったっけ!

さったっけ!さったっけ!

 

最高過ぎるよ。もう世界へ行こう。

世界へ連れて行ってくれ。

 

日本人が無視される激戦階級。
夢を見たい。

きっと夢じゃない。佐竹なら。

 

この後にメインの3大世界戦が控えているというのになかなか鳴りやまない佐竹コール。あの両国国技館の一体感は今も鮮明に思い出せる。

 

升席に一緒に座ってた若めの女性がいた。

戸高戦の時に声出して応援していたのでおそらく戸高ファンだろう。佐竹の一撃が決まった時「右?左?どっちが入ったんですか?」と話しかけて来たので「右ですね」と答えた。やけに巨乳だったなぁ。

パッキャオのバレラ撃破でアジアに世界が注目

この2003年秋のボクシング界はパッキャオがバレラを破ってアジアに世界の注目が集まってきた時期と被る。

 

専門誌もサイトどこもパッキャオを絶賛。

自分自身もメールのアドレスにpacman をつけるぐらいパッキャオ好きなので、バレラ戦の勝利は勿論嬉しかったのだけど…

 

ある海外記者のコメントが悔しかった。


「パッキャオは希少な存在。軽量級とはいえ世界を揺るがしている。
こんな活躍をする選手は当面の間、アジアからは出てこないだろう」

 

軽量級とはいえ…だと?

もうアジアからは出てこないだと?

いやいや海外主戦場のスーパーライトに佐竹がいるぞと。

 

強豪ひしめくこの階級で日本にこんな選手がいるのを、この記者はきっと知らないで言ってるんだろう。

 

見てろよ。 

佐竹はきっと世界を驚かすに違いない。

 

当時のスーパーライト級世界王者はビビアン・ハリス(WBA王者)で、僕はハリスの試合を何度もチェックしていて、この王者に佐竹が挑戦したら絶対に勝てると思ってた。


試合が決まりさえすれば、きっと勝てると。

世界挑戦の連続失敗中、光った勝利

この日の佐竹のKO劇が忘れられないのは僕だけじゃない。両国で応援したファンはもちろん、テレビで見た人達も含め記憶に残る一撃として今も根強く語られている。

 

なぜだろう。


良い試合だったからなのだけど、きっとこの時の日本ボクシング界の状況も大きいと思う。

 

この時期、日本選手の世界挑戦は連続失敗が続いた時期だった。世界王者は徳山昌守が君臨し安定防衛を続けてくれていたがファンとしては「挑戦してKO奪取」はやはり醍醐味。


2002年5月に佐藤修がヨーダムロンをKOした奪取劇から実に12連続失敗中!

 

【2002年】

5月 ノエル・アランブレットvs星野敬太郎
7月 アレクサンドル・ムニョスvs小島英二
8月 シリモンコンvs長嶋健吾
8月 オスカー・ラリオスvs福島学
11月 ウィリアム・ジョッピーvs保住直考
11月 ポンサクレックvs本田秀伸

【2003年】

4月 オスカー・ラリオスvs仲里繁1
6月 徳山昌守vs川嶋勝重
6月 ホセ・アギーレvs星野敬太郎
7月 ノエル・アランブレットvs新井田豊
9月 オスカー・ラリオスvs石井広三

 

アランブレットやラリオスが日本人相手に荒稼ぎしてた頃だ。
どちらもPFPランクに入る程の強い王者でもないのに誰もその牙城を崩せないという、悔しくてしょうがない時期だった。

 

特に4月の仲里vsラリオスの初戦! 仲里はラリオスの顎を割るところまで追い詰めながらも、捕まえきれず逃げられてしまう。

 

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「KO奪取が見たい欲」の満たされぬストレスはMAXに^^

この日の両国で戸高がガメスとの暫定王座決定戦で判定勝ちしたもののKO奪取が見たい欲は満たされないまま。メインの西岡ウィラポン第3戦は部の悪いドローというそれはそれはもどかしい結果に。

 

こんな状況だからこそ、悪い流れが続いていた時期だからこそ尚更に皆、佐竹のKO劇にズトーンと心を奪われてしまったんだろう。

 

日本ボクシング界の妙な悪い流れをすべて清算するかの様な劇的で豪快な倒しっぷりに、誰もが佐竹への称賛を惜しまない夜だった。

 

結局この後、佐竹の世界挑戦は実現しなかったけれども、レイナ戦は夢を見るに値する素晴らしい試合だった。

 

佐竹は今も元気でやっているだろうか。

 

あの日、素晴らしい勝利をありがとう。

夢をみせてくれてありがとうと伝えたい。

ドラマ「GOOD LUCK!」の年

 2003年はキムタク絶頂期。
ドラマ「GOOD LUCK!」が40%近い驚異的な視聴率を記録して大きな話題になった年だ。

 

この日の両国国技館でも隣の升席の女性同士はキムタクの事を話題にしてたりドラマの影響で航空業界への就職希望者が急増したり、もはや社会現象だった。

 

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自分も見ていたし、良いドラマだったのだが、2019年の今…この16年前のドラマを思い出す事が最近よくある。

 

そう!!

 

いま日本が世界に誇るモンスター・井上尚弥が入場曲にこのドラマのテーマ曲「Departure」を使っているから。

 

井上の入場時にこの曲がかかる度に、連敗続きの2003年の訝しい記憶が少しだけ蘇る。

 

きっとモンスターのこれからの快進撃は、この曲の悔しい記憶を完全に塗り替えてくれるに違いない。