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ロバート山本vsジロリアン陸とプライベートラウンド。

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11月26日はあの日。
ロバート山本vs高橋陸(現:ジロリアン陸)の日。2014年11月26日。後楽園ホール。

互いにプロデビュー戦のリングでの4回戦は死闘の末にロバート山本が4回TKO勝ち。人生初の1勝をあげた山本のボクシングは素晴らしかった。テレビ企画の延長でやってるんだろうと思った部分もあったけど、それはもう大間違い。開始から決着まで観る側も圧倒されっぱなしの4ラウンド。

半端な覚悟でリングに上がるボクサーが出来る試合じゃない。プロのリングに相応しい、心打たれる美しい戦い。

高橋陸はこの試合の後ジロリアン陸に改名し、ボクサーとして更に高みを目指す日々。ロバート山本は御存知の通り、芸能界で活躍しつつ動画配信やトレーナー業でボクシング界に関わってくれている。

あの日から6年が経ち、この試合を知らないボクシングファンも増えたんじゃないだろうか

YOUTUBEで配信中のボクシングマガジン企画「ロバート山本presents"プライベートラウンド"」がマイブームで最近よく見ている。旬なボクサーを招いてプロ1勝をあげた山本ならではの切り口でゲストとのトークを展開するファン必見の企画。もっと沢山の人に見られるべき優良コンテンツだと思う。

試合の記念日である今日、敬意を込めてあの一戦を振り返りつつ、プライベートラウンドの見どころにも触れていきたい。

試合回想までは山本、それ以降は山本氏と記します。

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プロのリングに挑んだ理由

山本がボクシングを始めたのはこの試合の約10年前。上京して芸人になり、運動不足を実感した彼は久しぶりに体を動かしたいと思いイマオカボクシングジムに通い始めた。健康の為だった。

「ある日、会長からお前は天性のハードパンチャーだとおだてられたんです。もちろんリップサービスはあったでしょうけど...自分でも俺センスあるわ!って直感でわかったんです」

仕事をしながら練習に没頭し、テレビ番組「Qさま!!」の企画でプロボクサーのライセンスを取得。

ライセンスカードを披露した記者会見での相方、秋山のツッコミが忘れられない。

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「おまえはまず、お笑いのライセンス取れよ」パンチ力抜群の秋山、さすが過ぎる。

芸人活動とジム通いの両立の中、彼はボクシングをより好きになっていった。試合への決意が固いものなったのは、JBC(日本ボクシングコミッション)の年齢規定に自身の年齢が近くなった事がきっかけ。日本のプロボクシングでは37歳になると原則的に試合に出られなくなるため、その37歳を目前にプロとしてリングに上がることを決意。

「心のどこかでずっと試合をしたい!と思っていました。36歳で夢が実現し、憧れの後楽園ホールのリングに立つことができます」

そう話す彼の表情はリングに向かう事の恐怖よりも、憧れ続けてきた眩しい舞台に立てる喜び…その嬉しさでいっぱいの様に見えた。

初勝利と初黒星

試合の当日。

山本は自分の試合の一つ前の試合が始まったあたりで、体を動かしウォーミングアップを始める予定だった。

一つ前の試合は比嘉大悟vs藤井敬介。

山本の晴れ舞台は比嘉のプロ3戦目の試合と同じ興行だった。イメトレしながらアップを始めたところで、ジムスタッフが山本に言う。

「前の試合が終わった!山本、出番だよ。」

もう終わったの?そう思ったらしい。

比嘉はあっという間に藤井を倒し、初回1分20秒で試合が終わってしまった。山本はまだ十分にアップ出来てなかったけど、急いで準備を始める。芸人としてのライブの時、劇場でかかるロバートの出番前の曲「Michael Jackson/Black or White」をプロボクサーとしてのリングインでも使用。

リングサイドには彼の練習を手伝った元世界王者から、番組で共演中の芸能人まで大挙して押しかけ、4回戦とは思えない華やかな光景。

大歓声の中で試合開始のゴングが鳴った。

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初回、長身の右ボクサーファイターの山本が前に出る。

スパーではもっとスムーズに左が出ていたけど固いかな。そう思った瞬間、打ち下ろしの右!当たればヤバいと伝わる右。

直撃は免れたが、高橋の顔色が変わる。

高橋も打ち返す。

試合全般を通して、山本は右をきっかけに突破口を開く戦い方。チャンスの時には自信のある右を思い切り振り下ろす。対する高橋は最低でも4連打のコンビネーションで攻める。だから、試合は噛み合う。

2分過ぎ、高橋が左右の5連打。

そのうち1発が山本の顔面を跳ね上げた。

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一瞬、動きが止まる山本。

右のショートアッパーを打ち返して盛り返したところで初回終了。

2回。

高橋が猛攻を仕掛ける。

左右の9連打に鼻血を出す山本。

効いたけど、凌いだ後は右で反撃。

山本の右もクリーンヒット!

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目まぐるしく攻守が入れ替わる。

山本の応援で観戦する「Qさま!!」の共演タレント達。良いパンチを貰った時の優香はこの表情。

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そんな優香と比較して、お隣の方。

しずちゃんのこの表情。ボクサーだものね。

残り30秒。

絶妙なタイミングで右を貰った高橋の腰が落ちる。効いた!

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山本の右ストレート、アッパーもクリーンヒット!

3回も一進一退の攻防が続く。
両者にチャンスが訪れ、鬩ぎ合いが続く。

4回。

ラストラウンドが始まる時の歓声が凄い。

当時、世界王座を7度防衛中の山中慎介もリングサイドから鋭い視線を送り続ける。

フィニッシュのきっかけはやはり右だった。

打ち下ろしで効かせた後、山本の怒涛の連打。

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高橋が座り込む。

ダウンか?と思ったけどレフェリーはスリップと判断。

試合は続行。足に力が入らない高橋。

フィニッシュに向けて山本が左右の連打を打ち込んだところで、レフェリーが割って入った。ストップは良いタイミングだと思う。

試合終了!

山本が4回TKO勝ちを決めた瞬間だった。お祭り騒ぎの様に沸き返る後楽園ホール。

山本本人もこの試合を振り返る時「自分で言いますけど、良い試合です」誇らしげにそう話しているけど、間違いない。両者が持ち味を出し切ったシーソーゲームで、山本も苦しかったと思う。

試合の動画

テレビでこの試合を知ってホールに初観戦に来たファンは、山本が楽に勝ってたら「やった~!」で終わっただろう。力の拮抗した好選手同士"プロボクシング"の魅力満載の素晴らしい試合だった。

抱き合う両雄は、雨の後の虹の様に爽やかだった。

試合後の各界のコメント

試合後、応援に駆け付けた各界の著名人達に囲まれて祝福の嵐の中にいる山本。

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世界王者とお笑い界の大御所。

山中慎介から「お客さんが沸いてた。プロの試合してたよ」ゴットレフトにこんな事言われたら、試合してないこっちまで泣きそうになる。

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しょこたんとの写真。

リングサイドにはしょこたんママらしき人の姿も。後日の収録番組での千原ジュニアとのトーク。

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「初のプロのリングで、スタミナが切れるはずの4回でKOするのは凄い!人に見られる仕事をして来たから、見られる疲労に強いんや!」と後輩芸人の勝利を絶賛。

試合後の2人の関係

試合内容の素晴らしさは勿論、この後の高橋陸の快進撃が更にこの1戦の価値を高めている。

リングネームを"ジロリアン陸"に改名して、山本戦の次から8戦8KOの連勝で新人王まで駆け上がった。その後、惜敗を挟むも再起戦で勝利。より高い場所を目指して今もボクシングを頑張っている。

山本氏は、行ける時は必ず彼の試合を応援に行っている。

このブログの「ボクサーのお店レポ、田中光吉のお店くらんど」の回でも、田中氏とカメラマン山口氏の引退後の友人関係に感動した事を書いたけど、命を懸けて戦った2人が、別の道に進んでも応援し合う光景はいつ目にしても素晴らしいと思う。

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ボクシングが”スポーツ”なんだと実感する瞬間だから。

プライベート・ラウンド

YOUTUBEで配信中のボクシングマガジン企画「ロバート山本presents"プライベートラウンド"」はボクサーを招いて山本氏がトークするファン必見の動画番組。

コアなファンは知っているけど、意外にまだ知らない人も多い印象。面白いからぜひ見て欲しい。

ただの芸人ではなく、試合経験のある山本氏にだからこそ見せるボクサー達の顔がある。

ここで見所を簡単に紹介したい。

内山高志の回

「驚異のKO率ですが、倒すコツってありますか?」と聞かれた時のウッチーの回答が最高!一番嬉しかった試合や、コラレスにやられた夜の事をこんなにざっくばらんに話すウッチーははじめて。なんと将来は猫カフェ計画も。

比嘉大悟の回

あの日、同じ興行で試合した仲の2人。

世界戦の時の比嘉の話が面白い。全裸で台に乗り、計量失敗した前王者のエルナンデスのチ○チ○を見てしまったらしい。

「萎んでて、ホントにこれぐらい!」

小指でサイズ表現する比嘉っち。こらこら。

サイズはやめて。比嘉っち最高。

井上尚弥の回

結婚してから、バレンタインにジムに送られるチョコが激減したというエピソードを話すモンスター。この時の山本氏のストレートな切り込みは秀逸。

「率直に聞きますけど、ロマゴンに勝てますか?」ロマゴン無敗時代でのドストレートなこの質問。モンスターの回答も超絶にリアル。本音で答えてる。

試合前に見る夢の話も印象的。「夢で、リングに上がったけど靴紐結んでない!とかあります。そういう夢は見ませんでしたか?」と山本氏に聞くモンスター。

ダウンタウンや香川照之氏とのトークではこの展開は無い。だって相手は試合経験はないのだから。こういうちょっとした話も、プロで1勝した芸人だから引き出せる。

和氣慎吾の回

山本氏は試合に挑む前、彼に色々と指導を受けていたとの事。スパーリングもやってたなんて驚き。2014年11月の和氣慎吾は昇り調子でイケイケな時だったはず。パッキャオと一緒にロードワークした時の思い出を、少年の様な瞳で語る和氣慎吾が眩しい。それにしてもパッキャオ。ロードワークにまでSPが一緒とは。

岩佐亮佑の回

ロマチェンコを参考にして、テニスボールを使った練習を取り入れているという岩佐。
伝説の山中戦の話しが面白い。

「あのジャブ痛いんすよ~笑」

いやいや、あなたも激しく打ち返して後楽園ホールが揺れた名勝負ですよ。痛いんすよ~って^^

伊藤雅雪の回

カッコ良いのは顔だけにしてください。試合ぶりまでカッコ良いなんて反則でしょう。
栄光のディアス戦の話。試合前のインタビューで「KOで勝つ」と答えたら、外人さん達にバカにされて笑われたというエピソード。それであの会心の勝利を捥ぎ取るんだから。もう。

レフェリーデビューへ向けて

現在、山本氏はレフェリーを目指してJBCの研修をスタートさせている。

JBCの誘いを受けレフェリー・ジャッジ研修を受けることを決めたそうで、先日後楽園ホールで開催された「FUJI BOXING A-sign.Bee 22」ではリングサイドの役員席に座って試合を観戦。

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真剣な眼差しで選手と主審の動きを追った。

「またあのリングに上がりたい」

イベント終了後のメディアのインタビューでこう答える山本氏。

「初めてあんな距離で試合を見て圧倒されましたが、レフェリーの動きを細かく見るように努めました。研修でしっかりと学び、次世代のレフェリーとしてボクシング界に必要とされる存在になりたい。それが僕の次の目標です。あのリングに再び上がれるよう、頑張りたい。」

レフェリーはノーミスで当たり前、ミスジャッジをした時は大変。大役だけれども命を懸けたリングに上がり、勝利をあげた山本氏だからこそ出来るレフェリングがあると思う。

もしかしたらジロリアン陸の試合のレフェリーを務める事も、あるかもしれない

大きなボクシング愛を根底に持ちながら、マルチな活躍を続ける山本氏。彼の今後が本当に楽しみ。

願わくば次回のプライベート・ラウンドではぜひ、現役の世界王者をゲストに迎えた回が観れたら嬉しい。

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コメント

コメント一覧 (2件)

  • 山本さん、すごいですね!
    ボクシングが大好きなのは知っていましたからただのテレビの企画ではないと思っていましたが、こんなに素晴らしい試合をしていたとは!
    レフェリー姿を早く見てみたいです!
    それと動画のリンクありがとうございます☆
    内山さんがたくさん喋ってて嬉しい!
    その辺の中学生にやられちゃう内山さんも、「話が違ぇよ!」ってフテっちゃう内山さんも可愛い笑
    猫カフェには絶対行きたい!行きます!!
    尚弥の「ボクサーあるある」も面白い笑
    伊藤さんも娘さんに「パパが伊藤雅雪」って言われて嬉しいでしょうね^^
    ちなみに伊藤さんは減量してギラギラしてるときが一番好きです(照)
    この記事を山本さんご本人に読んでもらえたなんて素敵ですね。
    そして律儀にコメントをくれる山本さん、これからも応援しています。

  • みあかさん
    そうなんです。こんな素晴らしい試合をしてくれていたんですよ!
    プライベートラウンドは今後も継続していくとの事なので楽しみですね^^

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