皆様こんにちは。
ボクサーのお店レポ第39回はこちら。
元バンタム級日本ランカーの田辺年男さんがフランスの三ツ星レストランで修業後、1994年3月31日にオープンさせた名店「ヌキテパ 五反田」です。素材に拘り抜いた季節の海産物と畑のフランス料理はお客様の心を掴み、ファンに愛されて今年で27周年。2017年には厚生労働省発表の”現代の名工”に選ばれる程の腕前を持つ田辺さんの料理を体感して参りました!
五反田駅の周辺にはボクサーのお店が複数あり、度々足を運ぶ場所なのでずっと気になっていたヌキテパ。久々のフレンチ。ヌキテパデビューの日の感動を共有いたします。
場所と外観
場所はJR・都営浅草線・東急池上線「五反田」駅から徒歩10分の住宅地の中。この日は五反田駅から向かいました。駅の東口をでたら、このソニー通りをひたすら突き進みます。
しばらく進むと左手にソリマチという会社のオフィスが見えてきますので、ここを目印に左の脇道に一本入ります。曲がる回数は一回なので迷う事はありません。
景色が一変して閑静な住宅街へ。
少し歩くと右手に見えてくる白い雰囲気のある建物。ここがヌキテパです。ドイツ大使の邸宅を改装した築約50年の一軒家のレストラン。
エントランスの階段の上ってここから店内へ。季節の海産物と畑のフランス料理
「Ne Quittez pas」到着。
洗練された店内
全40席で、最大8名様と10名様の個室が2つ。ドイツ大使の邸宅として使われていた建物なので落ち着いた雰囲気を醸し出しつつ洗練されすぎない温かみを感じます。
ガラス張りのサンルームは開放感を演出。現在はコロナウイルス対策で1時間おきの換気、他のお客様との間隔を1テーブル開けて且つ消毒を徹底しており、”密”とは真逆の高い通気性が素晴らしい。
個室があるので小さい子供がいても家族で楽しめます。この日は友人と来ましたが、もう少し娘が大きくなったら家族で個室を予約したい
都心にいることを忘れて、まるでリゾートにいるような気分にさせてくれる緑に囲まれたテラス席もあります。この席、昼でも夜でも最高でしょうね。
お手洗いは2階にあり、2階に向かう階段には沢山のフォトグラフが飾られています。中にはこれまでヌキテパを訪れたお客様と田辺さんの記念写真も含まれており、お店の歴史を辿れる素敵空間。
この中にあのレジェンド・チャンプと田辺さんの写真を発見。ボクシングファンなら誰もが知るあのスターも来店していたなんて!
シンプルメニュー
メニューの中から代表的なものだけを記載いたします。
ランチ
・定番料理全6皿コース / 7,150円
・シェフおすすめ全8皿コース / 11,000円
・シェフおまかせ土のコース / 16,500円
ディナー
・定番料理全6皿コース / 7,150円
・シェフおすすめ全8皿コース / 11,000円
・シェフおまかせ土のコース / 16,500円
ワイン
料理の邪魔をしないワインをバランスよくセレクト。フランス産を中心にシャンパンを3~4種、白を約10種、赤を15~20種を常時オンリスト。料理の味を引き立てるものだけを厳選しています。
極上のフレンチ
この日はボクシングファンの大先輩Tさんと久々の会食。ワインを飲む気満々ですが、まずはビールで乾杯。通気性抜群の席配置で夕方からフレンチ。たまりません。
田辺さん自ら三崎港まで通って魚介を仕入れ、厳選された無農薬の野菜だけを届けてもらうという素材選びの徹底ぶり。安心安全で美味しいお料理をつくりたいから、食材選びは努力を惜しまないそうです。
その日の朝獲れた素材と向き合うことからヌキテパの一日は始まります。自然の中で成長した魚をどうやったら一番おいしく食べてもらえるか。魚を知り尽くした田辺さんの野性の勘と経験がその日のメニューを決めます。
このヌキテパを世界に知らしめた拘りポイントは“土”です。長年、食材を探求し続けてきた田辺さんがその答えを“土”に見いだしたのは「健全でミネラル豊富な土壌が野菜を育むのだから、それを食べられないわけがない」との発想から。
使う土はもちろん、検査で安全性が認められた栃木県の"鹿沼土"のみ。水と土を合わせ裏ごしを重ねてソースを仕立てたり、土付きの野菜をそのままサラダにしたり…まさに自然そのものを味わうと言える料理。
5~6種類の魚を丸ごと使った磯魚のスープなど、田辺さんが作るすべての料理には素材の命が宿っており、絶品という言葉では表現し尽せない世界です。
接客も素晴らしく、細やかな部分まで気遣いが行き届いています。田辺さんの息子さんがホールスタッフとして料理提供してくれるのですが、言葉使いや笑顔が爽やかで気持ち良い。
ビールの後は白ワイン。料理の邪魔をしないワインだけがセレクトされているので、素材の味が更に引き立ち、ついつい飲み進めてしまって止まらない。
デザートからコーヒーへの流れも心地良い。全ての料理の名称を聞いているはずなのですが、久々のボクシング談義に夢中で、料理名は覚えていない事をどうかお許しください。
このアイスクリームが出てくる頃、今年の海外の試合で一番多くリピートしたのはオスカル・バルデスvsミゲール・ベルチェルトだと言って、あの試合の魅力を力説しておりました。
久々のフレンチは想像以上に最高な時間でした。素材の味や作り手の拘りを感じながら、ゆっくり食事と会話を楽しむという事の素晴らしさと贅沢さに改めて気付かせていただきました。ああ幸せ。
田辺シェフとの会話録
この日ご一緒したボクシングファンのTさんはヌキテパでの食事は10回目で田辺さんとも顔馴染み。自分は初対面だったのですが、興味深いエピソードを気さくに沢山お話ししてくれました。
ボクサー経験があれば何でも出来る
バンタム級で日本ランキング上位まで上り詰めるも、心臓の病気の為ボクサーを引退。おでん屋を経てフランスのレストランで修業を積まれた田辺さん。フランスでの逸話は人生の教訓が凝縮された素晴らしいエピソードです。
「ラ・マレという三ツ星レストランで働きたくて、言葉も通じないのに裸一貫でフランスに渡りました。3回行って3回とも門前払い。ラ・マレのオーナーシェフは日本人が嫌いなうえに、未経験者は雇わない考えの人だという事が分かったんです」
普通はそこで諦めます。でも田辺さんは諦めませんでした。「雇ってくれなくていいから、このお店のメニューを全部食べさせて欲しい。それで諦めがつくから。そう言ってその日から毎日お店に通ってメニューを食べ始めました。1ヶ月半かかりましたよ。いよいよその日で最後だという日、オーナーシェフが来てくれたんです」
田辺さんが最後と決めていたその日、キッチンから日本人スタッフの大森さんとオーナーシェフが出て来てカレンダーの12月1日を指さします。「12月1日から来てもいいよ。君をスタッフとして迎え入れる。大森さんがそう通訳してくれたんです」
感動する気持ち半分、不思議な気持ち半分で田辺さんに聞きました。相手を根負けさせる行動力があったとしても、言葉も通じないのにフランスに渡るなんて不安は無かったんでしょうか?
「ボクシングの試合に比べたら大した事ないですよ。死ぬかもしれない恐怖と戦うリング。言葉が通じなくたって同じ人間だもの。何とか出来るって思えたんです。それは自分がボクシングという過酷なスポーツを経験したからでしょうね。あれより苦しい事なんてないから。なんだって出来ますよ!」
現役引退後の人生を考える全てのボクサーに聞いて欲しい言葉です。説得力があり過ぎる。仕事の事で思い悩んでた自分の不安はなんてちっぽけなんだと元気を貰えました。
ジョージ・フォアマンがヌキテパに!
ボクシングファンなら知らない人はいないスーパーレジェンド。元統一世界ヘビー級チャンピオンのジョージ・フォアマンも来日の際にヌキテパに来店しており、田辺さんのフランス料理の素晴らしさに大満足の笑顔で記念写真に収まっています。
「テレビ番組の取材でね、フォアマンが日本の各所を渡り歩くドキュメント番組だったと思います。せっかくなので食事は元ボクサーのお店に…となった時にヌキテパをリストアップして貰えたみたい。フォアマンの様なスターが食べに来てくれるなんて本当に嬉しいサプライズでしたよ。取材中の回りのスタッフやこちらに対する配慮を忘れない紳士的な振舞いが忘れられません」
田辺さんが最近のボクシング界についてどう思われているのかも気になるところです。最近の注目ボクサーは誰かを聞いてみたところ、やはりモンスターの名前が。
「井上尚弥は強いね!これまで日本ボクシング界が生んできたチャンピオン達の中でも、ナンバーワンだと思うよ。それもぶっちぎりのナンバーワン。あんな選手が出てくるなんて驚きだよ。これからが本当に楽しみ」
田辺さんからも出て来た井上尚弥という言葉。一人の現役ボクサーについて世代を超えて語り合える喜びを実感しました。誰がどこからどう見ても凄い。そんなボクサーの全盛期に同じ時代を生きている我々は本当に恵まれているのです!
つい先日はこのお方とヌキテパへ
つい先日、友人にお誘いいただき、居酒屋いきやの大嶋宏成さんと3人で2度目のヌキテパを堪能いたしました。何度来ても最高なお店!
🔹最高のフレンチ🔹
— Tokky (@Tokky5571) July 28, 2022
昨日は共通の知人Tさんから、大嶋宏成さんの《いきや10周年祝い》にお誘いいただき、3人で3時間🍷
五反田にある元ボクサー田辺年男氏のフレンチの名店"ヌキテパ"今回も最高でした。
大嶋さん、47歳で明るいグリーンのシャツに白いパンツが似合い過ぎ😄
そして熱いボクシング愛! pic.twitter.com/JFbJDDqrx7
各試合会場からの距離
場所はJR・都営浅草線・東急池上線「五反田」駅から徒歩10分ですので、関東圏の試合会場ならどこでもアクセスしやすいです。主要会場からヌキテパまでのおおよその移動時間は下記の通り。
埼玉スーパーアリーナ
さいたま新都心駅から
五反田駅まで約50分。
後楽園ホール
水道橋駅から五反田駅まで約25分。
大田区総合体育館
京急蒲田駅から五反田駅まで約25分。
有明コロシアム
国際展示場駅から五反田駅まで約20分。
横浜アリーナ
新横浜駅から五反田駅まで約40分。
大田区総合体育館や後楽園ホールからは20分台で移動出来る距離なので、観戦の前後の時間でも立ち寄りやすいですが、お伝えしておきたいのは服装について。ヌキテパは特に「ドレスコード」をお店側から発信してはいませんが、キレイ目な服装で行きましょう!自分は新しいポロシャツとジーンズで行きました。それぐらいで大丈夫ですが、店内の雰囲気に合った清潔感は大切です。
五反田駅の周辺には他にも元ボクサーのお店が集まっており、元日本ライト級1位 田中光吉さんの居酒屋くらんどは東口から3分ですし、ワタナベジムトレーナー小口忠寛さんの忠さん食堂も西口から2分の場所にあります(忠さん食堂は「担々麺 きさく」に業態変更しており近日突撃予定)ので何度行っても楽しい街。ヌキテパ周辺は駅前の喧騒から雰囲気が変わり高級住宅地になるのですが、その変わりぶりも五反田の魅力です。ヌキテパデビューがまだの方、ぜひ行ってみてください!
以上、第39回ボクサーのお店レポ「元日本ランカー田辺年男シェフの究極フランス料理 ヌキテパ 五反田」 でした。最後にお店の地図と概要を載せておきます。
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